牡蠣には加熱用と生食用があるのをご存知ですか。
牡蠣を生で食べたい場合には、生食用でなくてはなりません。
加熱用はどんなに鮮度が良く、おいしそうに見えても、十分に加熱して食べることが必要です。
生で食べると食中毒などのリスクがあります。
そこで今回は、加熱用と生食用牡蠣の違いをご紹介します。
■海域の違い
加熱用と生食用の牡蠣の違いは、水揚げしてからの鮮度の違いや保存の仕方の違いと思われがちです。
ですが、もっと根本のところから違いが発生します。
第一の違いは獲れる海域の違いです。
保健所の水質検査により、基準を満たすレベルの水質の海域から獲れた牡蠣だけが、生食用として認められます。
それ以外の海域で養殖している牡蠣は、加熱用としてしか出荷できません。
もっとも、生食用にできない海域の水質が悪いわけではありません。
保健所の基準はとても厳格です。
海の状態などにもよりますが、一般的には加熱用とされるのは、川の河口に近いなど海岸沿いが多いです。
山から川を伝って流れてくるミネラルたっぷりの養分で、牡蠣がおいしく元気に育つ海域ですが、生活圏にも近いので、一定の雑菌が検出されてしまう場合があります。
これに対して、生食用とされる牡蠣は、河口や海岸から離れた沖合の漁場や養殖場のものが多くなります。
■加工の仕方の違い
加熱用と生食用の牡蠣は海域の違いだけでなく、水揚げ後の加工の仕方にも違いがあります。
生食用はそのまま出荷することはできず、滅菌浄化しなくてはなりません。
雑菌を滅菌する効果が高い、紫外線殺菌水などの滅菌海水に24時間以上かけて浸し、断食させることが必要です。
1日~3日ほど、牡蠣にエサを与えず、排出だけをさせ、胃腸を空っぽにします。
これにより、エサと一緒に食中毒の原因となる雑菌を取り込むことを防ぐことができます。
生食出荷可能な海域で漁獲し、かつしっかりと断食、滅菌させた牡蠣だけが、生食用として出荷できるのです。
生食可能な海域で獲れた牡蠣でも、滅菌浄化を行わない牡蠣は加熱用となります。
加熱用の牡蠣は、プランクトンなどの栄養豊富な海域で大きく育ち、断食させることもないので、生食用に比べて、大きいと言われることも少なくありません。
もっとも、これは育った時の状態にもよるので、サイズは出荷時の選別により分けられます。
■保存の仕方の違い
生食用の牡蠣は、製品の提供状態にもルールが設けられています。
清潔で衛生的な蓋付きの容器に入れるか、衛生的な合成成樹脂またはアルミニウム箔、または耐水性の加工紙で包装して保存しなくてはなりません。
そのうえで、冷蔵の場合は10℃以下で保存、冷凍の場合は-15℃以下での保存し、その表示をすることが義務付けられます。
加熱用に関しては、加熱用と表示し、加熱調理が必要なことを、しっかりと案内することが必要です。
■食べ方の違い
生でレモン汁などをかけて食べても良いのは生食用だけです。
加熱用は、牡蠣の中心部まで85℃~90℃で90秒以上、最低でも加熱することが必要です。
買ったばかりだから、生食用と見た目が変わらないなどと、加熱せずに食べてはいけません。
海域の水質も異なり、滅菌浄化もしていませんので、食中毒のリスクがあるためです。
焼き牡蠣やレンジアップでシンプルにいただくこと、牡蠣鍋や牡蠣うどん、牡蠣雑炊、牡蠣の佃煮や牡蠣のオイル漬け、牡蠣パスタや牡蠣グラタン、牡蠣シチューなど、加熱調理でおいしくお召し上がりください。
■まとめ
加熱用と生食用の牡蠣は、漁獲した海域の水質、滅菌浄化の有無、パッケージングや保存ルールの基準など、違いがあります。
加熱用の表示がある牡蠣は生食はせず、必ず、中心部までしっかり加熱して、おいしく食べましょう。
以上、牡蠣の加熱用と生食用についてでした。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。