日生の牡蠣
日生の牡蠣
寒い時期に食べたくなる牡蠣鍋といえばどんな味を思い浮かべますか。
地域やご家庭によっても定番のお鍋の味付けは異なると思いますが、牡蠣の産地である瀬戸内地域では、牡蠣鍋といえば土手鍋が基本です。
土手鍋とはどんな料理なのか、その名前の由来や作り方などをご紹介します。

■あなたの牡蠣鍋はどんな味?

冬になって牡蠣鍋にしたいという時や居酒屋や料理店などで牡蠣鍋を食べる時、どんな味付けのものを食べていますか。
出汁で牡蠣や野菜、豆腐や白滝を煮て、ポン酢やごまダレなどで食べるという方、出汁に醤油やみりんで味付けるか、めんつゆで味付けをして煮るという方もいれば、味噌やみりん、砂糖などを加えた甘じょっぱい味噌で煮るという方もいるかもしれません。
牡蠣養殖が盛んな広島をはじめ、瀬戸内地域では、牡蠣は土手鍋として、味噌味の鍋が基本です。
牡蠣と味噌はとても合うのです。
もっとも、味噌鍋ではなく、なぜ土手鍋というのでしょうか。
その名前の云われは諸説あります。

■牡蠣の土手鍋の由来

土手鍋は、古くから牡蠣の生産地として知られていた広島の郷土料理の一つです。
広島では牡蠣が縄文時代から食べられていて、牡蠣養殖がスタートしたのも1500年~1600年代と言われ、江戸時代には大阪などに牡蠣船で輸送していたという歴史も残されています。
土手鍋と言われるのは、鍋を調理する際に鍋の内側に味噌を土手を作るように塗るからと言われ、この説が定説です。
もっとも、ほかにも云われがあって、牡蠣の味噌鍋を考案したのが土手長吉さんであったという説もあります。
土手鍋の食べ方は独特で、鍋の縁に塗った味噌を崩しながら、味噌を少しずつ薄めることや具材に合わせて味を調節しながら食べるのが特徴的です。
最後に3つめの説は、牡蠣船にまつわる話です。
江戸時代に広島から大阪まで牡蠣を輸送し、それが川の船着場に到着しました。
現代のように鮮度を保つ技術が乏しい中、到着後すぐに川の土手で鍋を作って食べさせたことが由来とも言われています。

■牡蠣の土手鍋の作り方

牡蠣の土手鍋は、ただ牡蠣や野菜などを甘辛い味噌味で煮れば良いのではありません。
作り方に独特の特徴があります。
まず、赤味噌や白味噌、みりんや酒、砂糖などを混ぜた調味料を作り、それを土鍋の縁に土手を作るかのように塗りつけることがポイントです。
ただ、出汁に味噌などの調味料を溶いて作ったのでは、それは土手鍋とは呼びません。
次に具材の入れ方にも特徴があります。
濃いめの味噌の調味料を縁にたっぷりと塗りつけているので、火入れすると焦げつきやすいです。
そのため、焦げを防止するために、土鍋の底には白菜の芯を敷きます。
加熱すると白菜から水分が出るので、何も敷かないより焦げ付きにくいです。
そのうえで、長ネギや白菜の葉、人参や椎茸、えのきだけ、糸こんにゃくや豆腐などの具材を入れます。
すべての具材を入れてから、最後に牡蠣を乗せます。
そこに、ようやく出汁が加わり、火にかけるという流れです。
味付けは味噌の土手が勝手に溶け込むのを待つというより、土手を崩しながら、自分たちの好みの塩辛さに調節していただきます。
なお、広島など土手鍋が郷土料理の牡蠣の産地では、土手鍋用の味噌ベースの調味料が販売されているので、わざわざ調味料を調合しなくても簡単に作ることが可能です。
また、味噌は地域によって販売されているものや好みも変わります。
名古屋など東海地方なら、八丁味噌や赤味噌をメインにしたり、関西地方なら白味噌を加えたり、九州地方や関東地方なら麦味噌や大豆味噌などを使い、甘さなどの加減も、家族の好みや地域の味の文化に合わせるとよりおいしくいただけます。

■まとめ

牡蠣の土手鍋は広島など、牡蠣の産地の郷土料理の一つです。
味噌をベースにした調味料を土鍋の縁に塗りつけて土手のようにし、具材を入れて土手を崩しながら調味するというのが特徴です。
以上、牡蠣の土手鍋についてのご説明でした。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

 
 
           
 
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